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核被害地の体験紹介 マーシャル諸島で若者交流 広島からは2市立大生

 世界の核被害地の若者が交流するワークショップが28日、米国の原水爆実験場があった太平洋・マーシャル諸島の首都マジュロで始まった。広島、長崎の被爆者や世界の被曝(ひばく)者の証言映像をインターネットで発信し、連携するプロジェクトの一環。初日は、広島と現地の大学生がそれぞれの肉親や親族の体験を紹介した。 (マジュロ(マーシャル諸島)発 藤村潤平)

 広島市立大(安佐南区)2年の三好花奈さん(19)=佐伯区=と小田真理子さん(20)=廿日市市=が参加。2人とも祖母の被爆体験を話した。三好さんは、祖母芳枝さん(75)の笑顔の写真を掲げて「7歳で被爆し、父と兄を亡くした。残された家族を励ますため、明るく振る舞ってきたと体験を聞いて初めて知った」とスピーチした。

 マーシャルの学生4人は、放射性降下物「死の灰」に遭った親族の体験や、今も続く避難生活の苦しさなどを語った。大学1年のバーシナ・カリーさん(22)は「原爆の史実は知っているが、体験を聞いたのは初めて。もっと深く学んでいきたい」と熱心に聞き入っていた。

 ワークショップは3日まで。旧ソ連の核実験場があったカザフスタンの学生も1日から参加するほか、広島平和文化センター(中区)の小溝泰義理事長がゲストとして講演する。

 プロジェクトを主導する広島市立大のロバート・ジェイコブズ准教授(歴史学)は「ヒバクシャのコミュニティーは隔絶されている場合も多い。インターネットが駆使できる若者が友情でつながり発信していけば、核廃絶への強い声になる」と話している。

(2014年3月1日朝刊掲載)

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