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「ヒロシマ」へ続々 平和公園に外国人戻る 原爆資料館 4月は前年の30倍

インド系目立つ

 広島市中区の平和記念公園に外国人旅行者の姿が戻ってきた。原爆資料館の4月の外国人入館者数は、半月余りで昨年同月の約30倍に達した。新型コロナウイルス禍での水際対策の緩和と円安を追い風に、春先から急増。インドからの団体客も目立ち、市中心部のインド料理店は連日貸し切り予約で埋まっている。(宮野史康)

 「原爆の惨禍を繰り返さないために、この地で何が起きたか学びたい」。4月半ば、英国の会社員デービッド・ブッシュロードさん(33)は原爆ドーム前でこう話した。米国の機械技師ジェニファー・メリルさん(47)はコロナ流行後初の海外旅行先に日本を選んだといい、ロシアのウクライナ侵攻に触れて「戦争のもたらす破壊を胸に刻みたい」と語った。

 原爆資料館によると、4月の外国人の入館者数は16日時点で、昨年4月全体の29・4倍となる5万7849人(速報値)に上った。従来、桜が咲く春先は外国人旅行者が多いシーズン。公園を案内するピースボランティアの池田美穂さん(62)は「3月下旬から急に増え出した。今はガイドの6割を英語で担当している」と言う。

 目立つのがインド系外国人の姿だ。色鮮やかな伝統衣装サリーを身にまとい、公園内にある先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)をPRする花のモニュメント前で記念撮影する人も。大阪から貸し切りバスで訪れたインドのベンカット・クリシュナンさん(75)は「円安で旅行しやすい。原爆投下後の広島の復興に興味がある」と明かした。

 地元への経済効果も出ている。中区のインド料理店「ガネーシュ」は連日、インド系外国人の団体でにぎわう。菜食主義に対応したメニューが人気という。経営するパルサド・シリさん(69)は「コロナ流行前の状態に戻ってきた。もうしばらく予約は続きそうだ」と歓迎している。

(2023年4月20日朝刊掲載)

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