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社説・コラム

天風録 『可能性は無限大』

 そろそろ職場にニューフェースたちが仮配属される時期だろう。シンクタンクの産労総合研究所によると、ことしの新入社員は「AIチャットボット」タイプらしい。はて、何者か▲人工知能を活用した自動対話プログラムを指す。コロナ禍でオンラインになじんだ学生生活。対面の受け答えは苦手だが、知らないことはすぐに検索して答えてみせる高いスキルを持つ世代だ。先輩の助言次第で「可能性は無限大」の前置きが付く▲新入社員のネーミングが始まって半世紀。一方で「10~20年後、AIなどの機械に仕事の半分が奪われる」と予測した論文発表から10年の節目でもある。その見通しは正しかったのか▲執筆した英国の大学教授は分析する。電子商取引やコールセンターはそうなった。ただ自動運転の実用化は伸び悩んでいると。さらに進化したチャットGPTの登場がどう影響するのか。G7広島サミットでも議題に▲仮配属先の先輩もかつて命名された。光る仕事をするが決して熱くならない「発光ダイオード型」とか、上司という読み取り機次第で素早く正確にこなす「バーコード型」とか。世代ギャップを埋めるには、互いにAI(愛)情があってこそ。

(2023年4月21日朝刊掲載)

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