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[広島サミット5・19~21] 対話AI運用 G7で討議へ 官房長官、正式表明

 松野博一官房長官は20日の記者会見で、「チャットGPT」など対話型の人工知能(AI)の運用について、広島市で5月にある先進7カ国首脳会議(G7サミット)で討議すると正式に明らかにした。「デジタル経済のルールの原則や基本的な考え方を議論したい」と述べた。

 チャットGPTをはじめとするAIは、自動運転や品質管理などのビジネス利用が広がる一方、プライバシー保護などへの懸念から国際的な運用の指針作りが急務となっている。

 松野氏は「急速なデジタル化の進展で既存の法制度の適用が曖昧な領域が発生し、ルールに関する課題が生じている。AI開発の振興や利活用推進、適切な規制いずれも重要」と指摘。文書や画像を自動で作る生成AIの研究の加速などを提唱する今月末のG7デジタル・技術相会合(群馬県高崎市)の議論を参考に「G7議長国として国際的な議論を主導したい」と意欲を示した。

 岸田文雄首相は19日、チャットGPTに関し「国際的にルールを作らないといけない」と述べている。(中川雅晴)

チャットGPT
 インターネット上の膨大なデータを学習し、利用者が入力した質問や指示に人工知能(AI)が文章などで答える自動応答ソフト。米新興企業のオープンAIが開発した。自然な対話ができることに注目が集まり、業務の効率化に役立つと期待されている。一方、個人情報などの流出や、使う人の思考力低下を懸念する声もある。

チャットGPT活用 自治体の模索 禁止 鳥取県 「未来の答え出ぬ」アクセス遮断

 鳥取県の平井伸治知事は20日、インターネット上の膨大なデータを学習し、違和感のない文章を生成する対話型AI「チャットGPT」について、職員が議会の答弁資料作成や予算編成、政策策定に使用することを禁止すると表明した。「自治体は地域に出向いて情報を集め、地域の話し合いで意思決定するべきだ」と説明。職員の公用パソコンはアクセスできないよう設定したという。

 記者会見で平井知事は、広島県など活用を目指す自治体が相次ぐ「チャットGPT」について「スムーズに文章が出てくるが、情報は過去か現在で、未来の答えは出てこない」と指摘。「現場に出向き、地域の特性に合わせて有効な政策を考えなければならない。端末をたたいて出てくる答えではなく、地べたで集めた情報に価値がある」と強調した。

 また、地方自治や議会がAIに依存すると「民主主義の根幹に関わる」と述べた。一方で「検索エンジンとして情報収集に使うことはありうる」として、私的な活用は否定しないとした。(小畑浩)

(2023年4月21日朝刊掲載)

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