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元漁船員らの被曝線量調査 ビキニ事件で広島大名誉教授ら

 広島大の星正治名誉教授らの研究グループは、米国の水爆実験による1954年3月1日の「ビキニ事件」当時、周辺海域にいた日本の漁船の元船員から血液を採って解析する健康調査を進めている。28日、広島市内で開いたシンポジウムで明らかにした。元船員の被曝線量を推定し、一連の核実験が及ぼした放射線の影響を明らかにするのが狙い。

 昨年4月まで環境科学技術研究所(青森県六ケ所村)の生物影響研究部長を務めた田中公夫氏(広島市東区)は昨年11~12月、高知県室戸市などの70~80代の元船員12人や、同じ地域に住む被曝していない同年齢の元漁業者の男性9人から各10ミリリットルの血液を採取した。

 血液からリンパ球を取り出し、対になっている染色体の一部が入れ替わる「転座」などの染色体異常の割合を調べ、さらに被曝線量の推計を目指す。7月をめどに成果をまとめるという。

 第五福竜丸以外の漁船の被害の実態は未解明。星名誉教授は「(福竜丸以外の船員の)被曝線量の調査はこれが初めてで、被曝が裏付けられる可能性がある」と意義を強調。元船員の協力を呼び掛けた。

(2014年3月1日朝刊掲載)

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