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[G7閣僚会合▶▶論点は 岸田政権閣僚に聞く] 河野太郎 デジタル相(デジタル・技術相会合 29、30日、群馬県高崎市)

データ流通 国際枠組みを

 広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、デジタル・技術相会合が29、30日に群馬県高崎市である。議長を務める河野太郎デジタル相はデジタル流通に関する規制が各国で異なる中、国際的な枠組みを設けて「ルールを明確にし、透明性を高めたい」と意欲を示す。(中川雅晴)

  ―国際的なデータ流通を拡大し、経済成長につなげる構想「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」を日本は提唱しています。どう議論を主導しますか。
 2019年に安倍晋三首相(当時)が提唱した考えで、実現に向けた議論がテーマとなる。世界のデータを巡る規制は刻々と変わる。国際的なデータ流通に関するルールのデータベースを作りたい。(DFFTを推進する)事務局機能がある国際的な枠組みの立ち上げで合意したい。

  ―国際的な枠組みが必要なのは、なぜですか。
 G7でも立場が分かれているからだ。欧州は人権やプライバシー保護を強調し、米国や日本は技術を発展させた上で必要ならば規制しようと考えている。ルールを明確にして互いの運用の透明性を高めれば、中小企業などが国境を超えたビジネスを展開しやすくなる。

  ―ロシアによる侵攻ではウクライナの通信インフラの脆弱(ぜいじゃく)性が課題になっています。
 軍事侵攻前にはウクライナはサイバー攻撃を受け、今も情報戦が続く。デジタル社会では、すぐに復旧できるレジリエンス(回復力)を高める必要がある。閣僚会合でも話題になると思う。ウクライナから代表団も出席する予定だ。

  ―ほかにはどういう議論を進めますか。
 身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウエア」や、フェイクニュースへの対応も課題だ。G7がデジタル分野で結束し、(新興国や途上国を意味する)グローバルサウスに取り組みを広げたい。

 <デジタル・技術相会合>会場は群馬県高崎市のGメッセ群馬。DFFT推進、人工知能(AI)運用、デジタルインフラ構築などを協議する。議長は河野デジタル相、松本剛明総務相、西村康稔経済産業相。

DFFT
 プライバシーやセキュリティー、知的財産権を確保し、国際的に自由なデータ流通の促進を目指す構想。2019年1月にスイス・ジュネーブの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で当時の安倍首相が提唱した。同年6月のG20大阪サミットで首脳宣言に明記された。

(2023年4月25日朝刊掲載)

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