連載・特集

　広島原爆の１９４５年末までの犠牲者は１４万人±１万人と推計されています。一方、広島市が犠牲者の名前を積み上げた動態調査で２０１９年３月末までに確認できたのは８万９０２５人。今も、遠方に暮らす遺族の情報などで名前が判明するケースがあるものの、推計値とは開きがあります。

　また市は毎夏、全国各地に原爆死没者の名簿を張り出します。平和記念公園（中区）の原爆供養塔に納められた約７万人とされる身元不明の遺骨のうち分かっている名前を載せ、昨夏は８１４人分でした。被爆７０年以上を経て遺族の元に戻った例があります。犠牲者一人一人の生きた証しを記録し、「ヒロシマの空白」を埋める努力は欠かせません。（宮野史康）

（２０２３年４月２６日朝刊掲載）