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[広島サミット5・19~21] 被爆地での思い アプリに記して 廿日市出身の宮原さん

「対話ノート」参考に開発

 広島市中区の原爆資料館を見学した人が感想をつづる館内の「対話ノート」などをヒントに、世界各地でその場所ならではの思いを書き残すアプリがある。開発したのは、廿日市市出身の会社員宮原広志さん(39)=大阪市福島区。広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)を見据え、被爆地で感じた気持ちを共有してほしいと願っている。

 2019年7月に無料公開した「スピノート」は世界中に30メートル四方の升目を引き、ノートをそれぞれ1冊置いている。スマートフォンなどの位置情報を基に、その場を訪れた人だけが読み書きできる形だ。

 例えば宮原さんはアプリ公開直後、爆心地の島内科医院(中区)前で「もっと多くの日本人がここを訪れ、空を見上げてほしい」とつづった。これに続く形で、他の人が「75年前…爆心地」から始まる60字のメッセージを残した。宮原さんは「時間を超えた思いの積み重なりを実感した」と振り返る。

 開発のきっかけは友人との旅行だった。「行く先々での気持ちや感動を目に見える形で残し、共有できたらいい」。この友人とアプリ開発に乗り出し、原爆資料館以外にも観光名所や飲食店に置かれている自由記述のノートを参考にした。インターネットなどで調べると、同じようなノートは国内に少なくとも2500あるという。

 世界中に5700億冊を置くスピノートの公開から間もなく4年。宮原さんはG7サミットで広島が改めて世界中から注目を集めることを期待し「被爆地を訪れる多くの人に、感じたことや考えたことを書き込んでほしい」と話している。(口元惇矢)

(2023年4月26日朝刊掲載)

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