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マーシャル諸島 30人の健康相談 日本原水協 元住民や子孫

 米国による太平洋・マーシャル諸島でのビキニ水爆実験で被曝(ひばく)した島民支援のため現地入りしている日本原水協は2日、首都マジュロでの健康相談会を終えた。60年前に放射性降下物「死の灰」に汚染されたロンゲラップ環礁の元住民や子孫を対象に、3日間で計30人と面談。健康の悩みなどを聞き取った。 (マジュロ(マーシャル諸島)発 藤村潤平)

 30人は20~70歳代の男女。うち7人がこれまでに甲状腺を切除し、3人は甲状腺機能低下と診断されていた。別の3人が胃がんなどの手術を受けていた。健康相談会では尿検査や血圧測定、医師による触診を受けた。問題がなかったのは2人で、大半は高血圧や糖尿病などの症状がみられたという。

 ボルカイン・アンジャインさん(60)は「死の灰」が降った時に生後6カ月。被曝者を対象にした米エネルギー省の定期検診では「異常なし」と診断されたというが、腹部の張りを訴えた。アンジャインさんは「米国の検診は信用できない」と不満を口にした。

 相談に応じた原水協メンバーの竹内啓哉医師(51)=横浜市=は「高血圧や糖尿病は、島の食材を使った伝統的な料理ができず、缶詰などの食事に依存した二次的被害の側面もある」と強調。継続的な検診データがなく全体像はつかめないとした上で「被曝がなければ、もっと健康的な状況だったのではないか」と指摘した。

(2014年3月3日朝刊掲載)

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