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核なき世界へ特別文書 広島サミット 政府が採択調整

 被爆地広島市で5月にある先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、核軍縮・不拡散に絞った特別文書を採択する方向で、日本政府が調整に入った。議長を務める岸田文雄首相は「核兵器のない世界」の実現に向け米国、英国、フランスの核保有3カ国を含むG7で一致して取り組む姿勢を世界に示したい考えだ。(樋口浩二)

 関係者によると、特別文書ではロシアによる核使用が現実味を帯びているとの危機感を強調。広島、長崎への原爆投下以来、核兵器が使われていない歴史の継続や、世界的な核兵器数の減少傾向を続けることなどを明記する方向だ。名称を「広島宣言」とする案も含め、G7各国と水面下で調整しているという。

 政府は、長野県軽井沢町で先日開いたG7外相会合で核軍縮・不拡散についても議論した。岸田首相が提唱する核不使用の継続などの「ヒロシマ・アクション・プラン」が会合で評価されたことも踏まえ、広島サミットではG7首脳版の宣言に格上げしたい考えだ。

 外相会合は中国に核兵器の保有状況を明らかにするよう求める共同声明を出した。広島サミットでの特別文書にも、対中国のメッセージを明記する方向だ。

 首相は外相時代の2016年、広島市でのG7外相会合で「核なき世界」への機運醸成を目指す特別文書「広島宣言」の採択を主導した。広島サミットでも核軍縮・不拡散を議題とする意向をかねて示している。

(2023年4月27日朝刊掲載)

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