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[広島サミット5・19~21] 「平和のバラ」で迎えたい 開催控え 市民ボランティア手入れ

15品種の167株 参加国寄贈も

 広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)を来月に控え、被爆者を含む市民ボランティアが平和記念公園(中区)にあるバラ花壇の手入れに汗を流している。平和に由来する名前の品種が多く、G7を構成する英国とドイツ、カナダから贈られた苗もある。「首脳たちは公園を訪れ、バラを見てほしい」と期待する。(新山京子)

 「原爆の子の像」の傍らにある花壇にこのほど「2020親睦のバラプロジェクト」の11人が集まった。「バラはまめな手入れが必要だから」と枯れ枝や落ち葉をていねいに取り除いた。代表の杉岡暹(すすむ)さん(81)=佐伯区=によると「サミット期間中が見頃になりそう」。一部はすでにピンクやオレンジ色の大輪を咲かせている。

 花壇は約150平方メートルで、「ピース」や「アンネの日記」で知られる少女ゆかりの「アンネフランクの形見」など15種167株ある。「ヒロシマヘイワキネンコウエン」はドイツから贈られた苗木。被爆者治療に尽くした外科医で、バラを通じた平和交流に力を注いだ故原田東岷さんが「ヒロシマ・アピール」などを贈ったことへの返礼だという。

 市によると、1968~70年に海外の政府や平和団体から市へ相次いでバラの寄贈があったことが花壇を造ったきっかけだ。普段から市の委託業者が管理しているが、市民も手入れに貢献し、観光客を美しいバラで迎えようと杉岡さんたちは7年前に活動を始めた。原爆ドーム南側の花壇も合わせ、5、10月の開花時期を中心に週1回、枝の剪定(せんてい)などに取り組む。

 被爆者の古川和恵さん(81)=中区=は「焼け跡が緑あふれる公園になるまでの過程を幼い頃に見た。心を癒やしてくれるバラを守りたい」。高齢のメンバーの活動を引き継ぐボランティア仲間も募っている。杉岡さんは「咲き誇るバラを見て首脳たちに平和の大切さを感じてほしい」と話している。

(2023年4月27日朝刊掲載)

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