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[広島サミット5・19~21] 主会場の宇品島 厳戒態勢 首脳迎え入れへ 規制やフェンス

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)の主会場、グランドプリンスホテル広島がある広島市南区元宇品町でいま、首脳を迎え入れる準備が進んでいる。通行止めやフェンスの設置など、厳戒の色合いを強めてきた島を歩いた。(奥田美奈子)

 道路は舗装し直され、ぴかぴかだ。係船の柱を模した歩道のモニュメントも、きりっとした青に塗り直されていた。歓迎バナーがはためき、開幕が迫っていることを知らせる。

 回転灯を備えた警察関係車両と擦れ違う。とにかく警察官が多い。島の入り口となる小さな橋のたもとに必ず1人。ある日は、橋からホテルまでの約1キロで16人を見かけた。

 仕事で元宇品を訪れたという女性に話しかけると、辺りを見渡して苦笑い。「物々しい。でもいまは一番、治安がいい所かもね」

 16日。ホテルから島の南西部へと続く海沿いの遊歩道で驚いた。いつもなら障害物なく海を見渡せる人気スポット。釣り客や磯で遊ぶ親子連れも多い場所だ。

 沿岸に高さ約3メートルの仮設フェンスが並んでいた。ホテルのそばから約380メートルにわたり、海からの立ち入りを阻む格好だ。後日、監視カメラも据えられていた。これがサミットか。外務省は、警備上の理由で設置の範囲や期間などの詳細は答えられない、とする。

 海沿いを離れ、山の上の宇品灯台へ行ってみる。近くの駐車場をトレーラーハウス5台が占拠していた。警察官の待機所として使うのだろう。知らずに訪れた観光客や市民は、しぶしぶ路上に車を止めていた。

 26日。ホテル脇から灯台方面へ続く道路が通行止めになっていた。会場へ近づけないようにする柵の工事も進んでいた。

 帰り道。島に近い広島みなと公園の一角に、仮設とみられる大きな建物ができているのを見つけた。これも警備で使うのだろうか。

 島内に限らず、サミットによる変化が次第に表れている。警備関係者の待機所などになるため、市民が使えなくなる公共施設も少なくない。日常生活への影響を踏まえながらの準備が必要だ。

(2023年4月27日朝刊掲載)

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