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核弾頭削減の米露合意 広島の被爆者「具体的道筋を」

記者 東海右佐衛門直柄

 米ロ両大統領による戦略核弾頭数の削減合意を受け、広島の被爆者たちは7日、「核兵器廃絶への第一歩」と期待を膨らませた。専門家からは、廃絶への具体的な道筋を明確にするよう求める声も出た

 広島県被団協の坪井直理事長は「米ロが同じ方向へ歩みだした意味は重い。これを一歩に削減を進めてほしい」と願った。もう一つの県被団協の金子一士理事長は「来年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け他国に与える影響は大きい。ブッシュ政権で止まった核軍縮がようやく進む」とみる。 手放しで歓迎する声ばかりではない。オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領が合意した削減達成時期は、「第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約の発効から7年以内」となっている。

 広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長は「スピードが遅い。真剣に軍縮を進めようとしているのか見えない」と指摘。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表は「米ロは具体的に廃絶の道筋や期限についても協議をすべきだ」と訴えた。

 広島修道大の佐渡紀子准教授(国際政治)は「軍縮には弾みがつくだろうが、核兵器廃絶へのメッセージが一切ない」と分析。「被爆地の声を国際社会に伝えることで、この歩みを確かな廃絶への道筋につなげるべきだ」と強調した。

 広島市の秋葉忠利市長は、「オバマ大統領の目指す『核兵器のない世界』の実現に向けた第一歩」と評し、両大統領にさらなるリーダーシップを求めるコメントを出した。


心から歓迎 長崎市長

 米ロが核軍縮交渉で共同文書に署名したことを受け、長崎市の田上富久市長は7日、「オバマ大統領がプラハで演説した『核兵器のない世界』への第一歩を踏み出したものであり、被爆地として高く評価し、心から歓迎する」とのコメントを発表した。


米露核削減合意 官房長官が歓迎

■記者 岡田浩平

 米ロ首脳が第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約で戦略核を過去最低水準まで削減する方針に合意したことについて、河村建夫官房長官は7日の記者会見で「政府として歓迎する」と述べ、今年12月のSTART1失効までの締結に期待感を示した。

 河村長官は、他の核兵器保有国も参加した世界的核軍縮の進展につながるよう「来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功に資する有意義な条約を策定してほしい」と強調した。

(2009年7月8日朝刊掲載)

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