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アンネ関連本 傷つけないで 中国地方図書館 閉架や警戒強化

 東京都内の公立図書館で「アンネの日記」などが破られているのが見つかった事件を受け、中国地方5県の公立図書館に波紋が広がっている。各県立図書館などによると被害は確認されていないが、アンネ・フランクの関連本の閉架や職員の警戒強化など被害防止に取り組む動きが出ている。

 呉市中央図書館は2月下旬、アンネの日記と関連本計約10冊を閉架とした。「模倣犯が出てくる可能性は否定できない」と担当者。岩国市立の8館も同22日から計約250冊を書庫に収めるなど、利用者の手が届かない場所での保管に切り替えた。9館とも要望があれば貸し出すという。

 職員の目が届く貸し出しカウンター近くに関連本を移すケースも目立つ。同22日に移した三次市立図書館の内藤孝治館長(58)は「許されない行為。本を破るなんて人間性を疑う」。同館のほか、広島県世羅町内や柳井、光、雲南の各市内の施設でも同様の取り組みがある。

 国内で唯一、ユダヤ人の大量虐殺をテーマにした平和教育施設「ホロコースト記念館」がある福山市。市立7図書館では、職員が書架の整理などで巡回する時に、不審な利用者がいないか注意しているという。

 一方、同記念館の大塚信館長(65)は同22日、アンネ・フランク財団(スイス・バーゼル)の会長でアンネのいとこであるバディ・エリアス氏からメールを受け取った。英文で「非常にショック。アンネを愛している日本人もショックを受けたことでしょう」とつづってあったという。

 同館は今月15日から、アンネの生誕85周年を記念したパネル展を開く予定。大塚館長は「心ない行為で許せない。早く解決してほしい」と願った。

(2014年3月3日朝刊掲載)

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