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「二十四時間の情事」レネ監督死去 ロケ地広島 悼む声

 フランス映画の名匠アラン・レネ監督(91)の死去が報じられた3日、代表作「二十四時間の情事(原題ヒロシマ・モナムール)」のロケ地となった広島にも悼む声が広がった。

 広島ロケは1958年夏。道具係を務めた池田康彦さん(79)=東広島市=は「いつも穏やかな笑顔。日本の監督と随分違うと思った」としのぶ。「自ら夜中まで現場を入念に下見し、台本は完璧。撮影がすごくスムーズに進んだ」

 映画は翌年公開。原爆で家族を失った日本人男性と、戦争で心に深い傷を負ったフランス人女優が織りなすドラマを描く。

 元広島映画手帖社社長の久村敬夫(よしお)さん(77)=広島県府中町=は「難解な印象はあるが、広島の街の情感、俳優の魅力を引き出していた。大島渚や吉田喜重たち、当時の新進監督に与えた影響は計り知れない」と評価する。

 運営する広島市の映画館で上映してきた序破急の蔵本順子社長(63)は「ベッドに横になる主人公に死の灰が落ちるシーンが印象的」と振り返る。現在、日本での興行権が切れているが、「広島の映画人としては毎年でもやりたい作品。可能になればすぐにでも追悼上映したい」と語った。(道面雅量、余村泰樹)

(2014年3月4日朝刊掲載)

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