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東日本大震災から3年 広島発の灯籠で古里復興祈る 相馬で被災 東京の音大生星さん

カープ応援が縁 ボランティアに参加

 3月11日に合わせた広島のボランティア団体「チームひろしま」による追悼の灯籠作りに、福島県相馬市で被災した、国立音楽大2年の星千尋さん(20)=東京都立川市=が参加する。マツダスタジアム(広島市南区)での広島東洋カープの応援を機に元気を取り戻した縁で、古里の復興を思う気持ちを託す。(小笠原芳)

 「復興 前を向こう!!」―。星さんは自宅で、広島から届いた灯籠にメッセージを記した。「いまの状況をマイナスに考えず、前を向いて生きてほしい」との願いを込めた。

 高校2年の時、授業中に被災。福島市内を転々とする避難生活が約2カ月続いた。恐怖と祖父や先輩を亡くした悲しみを抱えたまま、自分は無事だったからと明るく振る舞った。でも、心は疲れ果てていた。

 進学後の2012年春、広島出身の友人の誘いでマツダスタジアムを初めて訪問した。立ったり座ったりを繰り返すスクワット応援を体験すると夢中に。東京の球場にも足を運んだ。「カープは精神的にきつい時に自分を救ってくれた掛け替えのない存在。常に身近であってほしい」と思うようになった。

 広島訪問は5回を数え、町並みにも心を引かれた。「よそ者を受け入れてくれる温かさが何よりうれしかった」と将来は広島で音楽教師になろうと決めた。

 チームひろしまは震災直後の11年3月に広島市の会社員たちでつくり、県内のイベントで東北物産展を開くなど支援を続ける。灯籠作りも3年目で、8日に中区のアステールプラザで作る。星さんの分を含めて計約100個を、メンバーが8月中旬、宮城県松島町に持参。観光協会などが主催する夏祭りで松島湾に流す。

 星さんは広島の知人から灯籠作りの話を聞いた。被災者の参加はほとんどないが、渡部晃久代表(49)は「復興には息の長い支援が要る。被災地とつながり続けるきっかけにしたい」と歓迎している。

(2014年3月4日朝刊掲載)

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