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脱原発条例案 あす審議 「実現困難」否決の公算大 直接請求受け島根県議会委

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の地元市民団体が再生可能エネルギーの普及により脱原発を図る条例制定を島根県に求めた問題で、県議会(定数37、欠員1)は3日、条例案を5日の総務委員会で審議することを決めた。委員9人に対する3日までの取材では「理念は尊重するが実現は困難」などと6人が制定反対を表明。否決の公算が大きくなっている。(樋口浩二、川井直哉)

 条例案は「島根原発・エネルギー問題県民連絡会」(代表・北川泉島根大元学長たち)が2月7日、県内有権者(昨年12月)の14・3%に当たる8万3323人分の有効署名を添え、県に制定を直接請求。再生エネルギーの普及を進め原発からの「計画的脱却」を図ることや、県内の再生エネルギー生産量が消費エネルギー量を上回る「エネルギー自立」の実現を県に求めた。

 これを受け、溝口善兵衛知事は2月12日、「実効ある計画の策定は困難」などと否定的な意見を付け、条例案を県議会に提案した。

 同委員会の委員9人のうち、過半数の6人を占めるのが最大会派自民党議員連盟(洲浜繁達会長、22人)の議員だ。「当日の議論に支障が出る」と態度を保留した大屋俊弘委員長以外の5人は、制定に反対する見込みだ。

 「理念は理解するが実現の可能性が低い」(山根成二副委員長)とハードルの高さを指摘する声のほか「限られた県の財源で国の方針抜きに決められない」(福間賢造委員)と、国の方針や財政支援が議論の前提とする声も。「当面は原発再稼働が必要」(細田重雄委員)と稼働反対の動きをけん制する意見もある。

 唯一賛成するのが、第2会派の民主県民クラブ(和田章一郎会長、9人)の白石恵子委員。「条例案の目的は脱原発で共感できる」との理由だ。ただ同じ会派の平谷昭委員が「慎重な審議が必要」とするなど、会派内には脱原発を支持する自治労系と、慎重な企業労組系の出身議員がおり、主張は割れている。条例案を集中審議する特別委員会の設置要求も検討したが、実行には移せなかった。

 条例案に賛成の和田会長は「8万人余りの署名は重い」としており、5日に否決された場合、条例案を修正し、次期定例会に議員提案することを自民議連に働き掛ける考え。

<条例案に対する県議会総務委員会の委員の賛否>(〇賛成×反対△継続審議―保留、当選回数順、敬称略)


委員 選挙区 会派 賛否
委員長 大屋俊弘 浜田市 自民議連
副委員長 山根成二 雲南市・飯石郡 自民議連 ×
委員 細田重雄 松江市 自民議連 ×

成相安信 出雲市 無会派 ×

岡本昭二 浜田市 自民議連 ×

福間賢造 雲南市・飯石郡 自民議連 ×

藤間恵一 江津市 自民議連 ×

白石恵子 松江市 民主県民ク

平谷昭 益田市 民主県民ク


(2014年3月4日朝刊掲載)

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