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連載・特集

みんなでサミット <6> 県民会議

歓迎機運づくりに奔走

 広島商工会議所ビル(広島市中区)の一室。県内の官民でつくる「広島サミット県民会議」の事務局では、約70人が先進7カ国首脳会議(G7サミット)の開催準備を慌ただしく進める。西田玲奈(れな)さん(27)=東区=は、その一員として駆け回っている。

 県と県警、県内の16市町や企業6社の関係者で構成する事務局に昨年10月、広島電鉄(中区)から派遣された。担当するのは、サミット情報の発信や歓迎の機運づくりだ。企業を訪ねてサミットを応援する取り組みへの協力を求めたり、イベントでPRブースを出展したり。認定した企業の応援の取り組みは1900件を超え「開催に好意的な企業が多い」と、手応えを感じている。

 県や市町の職員とともに進める、民間の世界とは異なる仕事に戸惑うときもある。「会社では絶対にできない経験。毎日が勉強」と前向きに受け止める。

 福山市出身。京都市の大学を卒業後、「広島が住みやすいから」と地元で就職先を選んだ。広電では西広島駅前(西区)の再開発に携わってきた。地域の活性化を目指す点が、サミットの仕事と共通しているように思う。成功させるために「地元の人が『自分ごと』と思って協力してもらうことが大事」と自らに言い聞かせている。

 事務局内で働くうち、今まで関わりのなかった人と交流する機会が増えた。海や山などの多様な自然と文化、季節ごとのおいしい食べ物のある広島の魅力を再発見している。

 サミット会期中に設けられる国際メディアセンターで県内の観光地や食文化などの情報提供を担う。「海外から来る人には絶対に食べて帰ってほしい」。週1回は食べるお好み焼きも世界へ発信するつもりでいる。(河野揚)

(2023年5月7日朝刊掲載)

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