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広島大病院、研修受け入れ ベテラン不足の南相馬市立病院

 広島大病院(広島市南区)は2014年度から、東日本大震災で被災した福島県南相馬市の市立総合病院の医療スタッフの研修を受け入れる準備を進める。福島第1原発事故後に職員の退職が相次ぎ、指導役のベテラン不足に悩む同病院の「崩壊した地域の自立に向け、力を貸してほしい」との求めに応えた。(馬場洋太)

 同大病院は理学療法士の教育プログラムを開発している。まず、理学療法士の池田陽一郎さんを1年間受け入れる。研修先となる診療科や内容は調整中。池田さんは「広い知識を学び、南相馬の医療レベルを上げたい」と意気込む。論文の書き方などを習得する機会もあり、学会などで被災地の実情をプレゼンテーションする力も付ける。

 避難生活との因果関係は不明だが、同病院では震災後、脳卒中による入院患者が増加。16年に24時間態勢の「脳卒中センター」開設を目指しており、理学療法士などスタッフの養成が急務という。南相馬市は福島第1原発の20~40キロ圏内で、放射線量の高い地域などから避難した約1万1千人がいまも仮設住宅などで暮らしている。

 広島大と南相馬市は13年8月に連携協定を結び、その一環で今回の受け入れが決まった。広島大病院診療支援部の伊藤義広部長は「多くの医師たちと知り合い、幅広い技術や知識を持ち帰ってほしい」と歓迎。南相馬市立総合病院の金沢幸夫院長は「理学療法士に限らず、さまざまな職種で指導的役割を果たせる人材が不足している。継続的に研修を受け入れてもらえるとありがたい」と話している。

(2014年3月6日朝刊掲載)

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