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連載・特集

みんなでサミット <4> 学生ボランティア

英語生かし おもてなし

 官民でつくる広島サミット県民会議の「おもてなしボランティア」は約70人。県内の大学や短大に通う学生たちが担い、JR広島駅(広島市南区)などの県内3カ所で海外から訪れた人たちの道案内や観光提案に当たる。4月22日にあった研修会では接遇の心構えを学び、28日からは実践研修を重ねている。

 広島女学院大4年の田窪透子さん(21)=中区=は、学んできた英語を生かすチャンスと捉え、ボランティアに応募した。「仲間たちと情報交換しながら、笑顔で明るく、心を込めて案内したい」と意気込む。

 高校卒業まで横浜市で暮らした田窪さん。新しい環境で学ぼうと両親の古里である広島の大学に進んだ。新型コロナウイルス禍で思うように学生生活が送れない中、大学のオンライン留学プログラムを受講したり、国際交流イベントに参加したりして積極的に海外の人たちと交流してきた。

 海外の人の言葉で気付いたことも多い。「兵役があったり、学生がデモに参加したりするのが日常の国もある。知らないことが多く、自分たちの当たり前は当たり前ではない」と感じた。英語力の向上を目指して取り組んだ国際交流。語学のみならず視野も広がり、何事にも前向きに取り組むようになったという。

 おもてなしボランティアに決まってからは街を見る目も意識も変わった。「市内電車やバスの乗り方、行きたい店へのルート…。初めて広島を訪れた人にどう英語で説明すれば分かりやすいだろう」。街を歩きながら頭の中でシミュレーションを繰り返す。

 期間中は観光客だけでなく、政府やメディア関係者にも接する。「一期一会。全ての出会いに感謝し、そこでの発見や指摘を学びとしたい」。この経験を自身の成長につなげたいと考えている。(里田明美)

(2023年5月5日朝刊掲載)

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