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東日本大震災から3年 オルゴール手作り 両耳聞こえぬ広島市の元大工・中川さん

技呼び覚まし5個準備

 広島市中区の元大工で両耳の聞こえない中川俊明さん(85)が、東日本大震災の被災地に手作りのオルゴールを贈る準備を進めている。復興を祈り、仮設住宅で暮らすお年寄りに優しい音色を届けようと、培った技を呼び覚ました。(山本乃輔)

 中川さんはオルゴールの箱となるヒノキの加工と組み立てを担当。縦約13センチ、横約9センチ、高さ約10センチの箱形を作り、やすりで整える。シンプルなデザインながら一つ一つ細部にまで丁寧に作業を施している。

 2月末に作り始め、9日までに5個を仕上げる。「花は咲く」などの曲を奏でる予定で、中区のNPO法人セルクルなどを通じて福島県南相馬市に届ける。

 生まれつき両耳の聞こえない中川さんは、60歳までの35年間、家や家具を作り続けた。2012年から、通所する南区の作業所SOURIRE(スーリール)で若手の通所者仲間4人に技術を伝える。セルクルの小池康二郎理事長(63)=西区=から「被災者の心に染み渡る音楽を届けたい」とオルゴールの製作依頼があり、快諾した。

 中川さんは「自分の技術を復興支援に生かせるのがうれしい。被災者の皆さんに心から安らいでもらえれば」とほほ笑んでいた。

(2014年3月6日朝刊掲載)

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