[広島サミット5・19~21] 平和公園2時間滞在へ 19日 G7日程 概要判明
23年5月11日
宮島訪問も初日
政府が広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)の主な日程案が10日、関係者への取材で分かった。「核兵器のない世界」を掲げる岸田文雄首相の意向を映し、初日の19日に米英仏の核保有3カ国を含むG7首脳が平和記念公園(中区)に2時間前後、滞在する。世界経済やウクライナ情勢など計9のセッションで討議。韓国やインドなど招待国を交えた拡大会合もあり、首脳間の連携を深める。(樋口浩二)
初日は首相が平和記念公園でG7首脳を出迎え、原爆慰霊碑への献花や原爆資料館の視察をする。館内では被爆者とも対話する方向で最終調整している。市や広島県などの求めに応じて、被爆桜の植樹もするなど平和記念公園内に2時間前後とどまる見通しだ。
米国の現職大統領として初めて広島を訪れたオバマ氏は平和記念公園に約50分滞在し、このうち資料館は約10分だった。G7首脳の資料館の見学時間も長くなるとみられる。
討議では、初日に主会場のグランドプリンスホテル広島(南区)で世界経済やウクライナ情勢について意見を交わす。ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで加わる。廿日市市の宮島にも渡り、核軍縮・不拡散やインド太平洋地域の情勢の議論も深める。
20日は半導体のサプライチェーン(供給網)の強化など経済安全保障をG7で協議した後、招待国が加わる。「食料、公衆衛生、開発支援、ジェンダー」、「気候変動」の2テーマで拡大会合を催す。
最終日の21日は招待国を含めた議論をするとみられる。その後、首相が記者会見で共同声明を発表。核軍縮・不拡散に特化した特別文書も公表する方向だ。この日は日韓の首脳がそろって平和記念公園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を一緒に訪れる。米国を交えた日米韓首脳会談も開催。首相は国連のグテレス事務総長とも会談する。
首相は開会前日の18日に広島入りし、リーガロイヤルホテル広島(中区)でG7各国との2国間会談に臨む。
サミット招待国
先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国が、重視する議題に応じた連携相手として招く国。2000年の九州・沖縄サミット前に、日本が発展途上国の意見を反映させるとして南アフリカやタイなどの首脳を招待。以降、G7と招待国首脳との拡大会合が定着してきた。広島サミットでは、インド太平洋地域での連携を重視し、韓国やオーストラリア、インドなどの首脳を招く。国連など七つの国際機関の長を招待するほか、ウクライナもオンラインで参加する。
(2023年5月11日朝刊掲載)