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ウクライナ支援 月内開始 広島大名誉教授チーム 近隣のジョージアで 歩行リハビリや再生医療

 広島大の弓削(ゆげ)類名誉教授(リハビリテーション)たちのチームは、ロシアの侵攻で負傷したウクライナの人への医療支援を今月末にも始める。頭部外傷を負い、歩行が難しくなった患者が対象。多くの人が避難する近隣のジョージア(グルジア)で現地の医師と連携しながらリハビリと再生医療に取り組み、患者の社会復帰を後押しする。

 10日に弓削名誉教授たちが広島市中区で会見し、明らかにした。まず、今月末に弓削名誉教授が開発に関わった歩行補助装置「RE―Gait(リゲイト)」を3台ほど現地に送り、リハビリに活用してもらう。送る台数は患者の数を見ながら追加を検討する。

 損傷した神経の修復につながる効果がある「間葉系幹細胞」を冷凍で輸送し、12月をめどに現地医師が患者に移植する再生医療を始める。日本の脳卒中患者でより高い効果が得られているというリハビリと再生医療を組み合わせた治療を進める。

 また6月からは取り組みに賛同した企業が提供する手術用の手袋やガウン、車いすなども現地に送る。

 補助装置の部品代や輸送代に充てる寄付を昨年12月から募っており、これまでに企業や個人から約3300万円が集まった。チームによると、ジョージア国内でリハビリが必要な患者は5万人以上に上るとみられる。弓削名誉教授は「患者が戦争前の生活に戻れる手助けをしたい」と述べた。(下高充生)

(2023年5月11日朝刊掲載)

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