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[広島サミット5・19~21] 韓国人被爆者と面会も検討 尹大統領 会合参加を機に

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)の拡大会合への参加のため、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が広島市を訪れる際、在日韓国人被爆者との面会も視野に検討していることが11日、分かった。市によると、韓国の現職大統領の広島訪問は初めて。面会が実現すれば、在日韓国人被爆者の苦難の歴史を国内外へ伝える機会となる。(小林可奈)

 尹大統領は岸田文雄首相に招待され、20日から広島サミットの拡大会合に参加する。首相は7日、韓国・ソウルでの首脳会談後の共同記者会見で、平和記念公園(中区)にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れ「一緒に祈りをささげる」と述べていた。関係者によると、尹大統領が被爆地を訪れる歴史的な機会を捉えて面会を望む在日韓国人の強い期待を受け、韓国政府が検討を進めているとみられる。

 韓国人被爆者は、日本の植民地だった朝鮮半島から徴用・徴兵、生活困窮などで広島や長崎に居住し、原爆に遭った。ただ、朝鮮半島出身者の被害の実態は明らかになっておらず、広島原爆の死者は「5千~8千人」や「3万人」との推定もある。祖国に戻った韓国人被爆者が長く日本政府の援護の枠外に置かれた一方、残った韓国人被爆者も日本社会で差別を受けるなど、苦しんできた。

(2023年5月12日朝刊掲載)

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