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[広島サミット5・19~21] 平和公園2時間滞在 「今度こそ時間かけて」 オバマ氏迎えた関係者ら期待

 広島市で19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、各国首脳が平和記念公園(中区)に2時間前後、滞在する見通しだ。2016年5月27日に現職の米大統領として初めて訪れたオバマ氏の滞在時間は52分だった。うち原爆資料館の視察は10分にとどまっただけに、当時を知る関係者たちは「首脳たちは時間をかけて被爆の実態に触れて」と望んでいる。

 「資料館側としては不本意だった」。オバマ氏を迎えた時の館長だった志賀賢治さん(70)=西区=は振り返る。30分かけて案内する計画だったが、外務省側との調整で短縮を余儀なくされ、被爆遺品や佐々木禎子さんの折り鶴を東館1階ロビーに集める異例の対応に。「資料館は各コーナーに意味があり、全体を構成する。ロビーで数点を見ただけでは見学とはいえない」と言い切る。

 市側はオバマ氏と被爆者の対話も5分程度求めていた。オバマ氏は原爆慰霊碑前で17分演説した後、会場に招いた被爆者のうち広島県被団協理事長の坪井直さん(21年に96歳で死去)、被爆米兵を研究してきた森重昭さん(86)=西区=に歩み寄り、言葉を交わしたりいたわったりしたが、短い対面だった。森さんは「G7首脳は被爆者と会うだけでなく、しっかり証言を聞いてほしい」と注文する。

 サミット史上初となる今回の被爆地開催では、初日の19日に岸田文雄首相が平和記念公園でG7首脳を出迎え、原爆資料館を見学する。館内で被爆者とも対話する方向で最終調整が進んでいる。

 慰霊碑前でオバマ氏に花輪を渡した会社員の並川桃夏さん(24)=佐伯区=は米大統領の初の被爆地訪問が実現したからこそ、広島サミットにもつながったとみる。「広島の空気感に触れ、被爆者の生の声を聞いてこそ、できる議論がある。核廃絶の動きにつなげてほしい」と期待した。(宮野史康)

(2023年5月12日朝刊掲載)

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