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「被爆者に申し訳ない」 佐村河内さん謝罪会見 聴覚障害に該当せず、と報告

 「両耳の聞こえない作曲家」として知られた広島市佐伯区出身の佐村河内(さむらごうち)守さん(50)=横浜市=の楽曲が別人の作品だった問題で、佐村河内さんは7日、東京都内で謝罪会見を開いた。焦点の聴力について、難聴であるものの「聴覚障害に該当しない」との検査結果を報告。「自分で制御できない大きな存在になり、恐怖を覚えていた」と告白した。広島の被爆2世として核兵器廃絶を願って作ったという交響曲に関し「被爆者を利用しようと思ったことは断じてない」と述べた。

 問題が発覚して以降、佐村河内さんが公の場に姿を見せたのは初めて。会見では手話通訳を介して報道陣の質問に答えた。

 2002年に身体障害者手帳を交付した横浜市の求めで受けた聴力検査の診断書を公表。「感音性難聴」と診断されたことに「3年前くらいから音が聞こえることもあったが、今も音声はひずんで会話が聞き取れないことがある。手話通訳が必要なことに偽りはない」と主張した。

 手帳は既に同市に返納し、障害者年金は「これまで受け取っていない」とした。同市は7日、2月末に手帳などが返されたと発表した。

 佐村河内さんの聴覚をめぐっては、楽曲を18年前から代作していた作曲家の新垣(にいがき)隆さん(43)が2月の会見で「耳が聞こえないと感じたことはない」と証言していた。

 新垣さんに対して「あれほどばれることを恐れていたのに、なぜこのタイミングで暴露するのか疑問だ」と批判。新垣さんの主張は事実と異なる点があるとして、名誉毀損(きそん)で訴える意向を示した。

 これに対し、新垣さんは7日、「私が謝罪会見や雑誌の手記で述べたことは全て真実で、変更することはない」とコメントした。

 代表作「交響曲第1番 HIROSHIMA」をめぐっては、佐村河内さんは「広島の被爆者の方に申し訳なく反省している」と謝罪。「被爆2世の使命みたいなものとして、闇の中から光が訪れるという想定がもともとあった」と、自らのアイデアと指示で完成したとの認識を強調した。

 これまで代作を依頼していたことに「罪の意識はあった。(マスコミに取り上げられ)自分がどんどん巨大化し、翻弄(ほんろう)された」と振り返った。(城戸収)

(2014年3月8日朝刊掲載)

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