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艦載機移転 爆音被害訴え 岩国第2次訴訟 初の口頭弁論 地裁岩国 住民「生活を危険に」

 米軍と海上自衛隊が共同使用する岩国基地(岩国市)の周辺住民436人が、米軍機などによる騒音被害の損害賠償と早朝・夜間の飛行差し止めを国に求めた第2次訴訟の第1回口頭弁論が12日、山口地裁岩国支部であった。原告側は2018年に空母艦載機約60機が移転して所属機が倍増した影響を指摘し、意見陳述で2人が騒音の実態を訴えた。国は請求を退けるよう求めた。

 意見陳述で原告団の三木健二団長(82)が「爆音をまき散らし、基地が活発になり、私たちの生活を危険にしている」、藤本博司副団長(81)は「頭に突き刺さるような重たい音。夜も爆音で目が覚める」と述べた。 国側は答弁書で、損害賠償と飛行差し止めの請求の却下や棄却を求め、将来分の損害賠償についても「不明確なので原告の訴えは不適法」と回答。全面的に争う姿勢を示した。

 原告は、国が住宅防音工事費を助成する「うるささ指数(W値)」75以上の区域に暮らす。訴状では、午後7時から午前7時までの飛行禁止や市街地上空での旋回・急上昇訓練の禁止を主張。時間帯で補正した騒音レベル(Lden)についても、世界保健機関(WHO)が健康に悪影響が生じるとする45デシベルを超えないよう求めている。

 損害賠償額は原告1人当たり月2万3千円とし、第1次訴訟の控訴審が結審した19年1月から、夜間・早朝の飛行がなくなるまでの将来分を含めて請求した。

 09年提訴の1次訴訟の判決は、10年に滑走路が1キロ沖合に移り騒音が減ったとしてW値75の一部区域の原告の賠償請求を認めなかった。2次訴訟で原告側は艦載機や飛来が相次ぐ空軍機の騒音回数、W値のデータを示し、判断の見直しを求める。

 1次訴訟では最高裁が21年4月、早朝・夜間の飛行差し止めを求めた住民側の上告を退け、計7億3540万円の賠償のみ国に命じた二審広島高裁判決が確定した。(黒川雅弘)

(2023年5月13日朝刊掲載)

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