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「同胞たち 感無量の時」 日韓首脳 韓国人慰霊碑へ 林始興 駐広島総領事インタビュー

 広島市で19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、林始興(イム・シフン)駐広島韓国総領事が中国新聞のインタビューに応じた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が平和記念公園(中区)を訪れ、岸田文雄首相と共に「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」で追悼する場面について「同胞たちにとって感無量の時になるだろう」と語った。(小林可奈)

心のわだかまり解消する契機に

  ―韓国の現職大統領として初の広島訪問をどう受け止めますか。
 同胞には被爆者や2世が多く、厳しい年月を耐え抜いてきた。慰霊碑は、原爆被害に遭い、外国で暮らしてきた同胞たちの二重の苦痛や差別を象徴している。両首脳の訪問は、同胞たちのこれまでの苦痛、心のわだかまりを解消する一つのきっかけになるのではないか。

  ―日本との外交関係に及ぼす影響は。
 首脳同士の信頼が深まれば、外交面でも確実に発展が望める。首脳が頻繁に会うことで互いの心を開いていく。その一つの結果が慰霊碑訪問だと思う。両国の関係発展に肯定的に作用すると信じて疑わない。

  ―大統領の被爆地訪問は米国の核兵器に頼る韓国の政策に影響を与えますか。
 大統領は広島で、核兵器の恐ろしさや殺傷力を感じ、核なき世界に共感するのではないか。一方、核政策は大統領個人の思いや感想によるものではなく予想が難しい。北朝鮮などの脅威は減るどころか、増す一方だ。韓国、米国、日本の3カ国会談では、北東アジアで憂慮すべき懸案、特に北朝鮮の核・ミサイルなどをいかに管理し、抑止するかが話し合われるだろう。

イム・シフン
 1968年韓国・ソウル市生まれ。高麗大卒。94年に外務部に入り、ブルネイや中国の韓国大使館参事官、外交部東北アジア局審議官などを歴任。2021年6月から現職。

(2023年5月16日朝刊掲載)

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