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「核禁止」へ 行動具体化を メキシコ国際会議 ICANの川崎共同代表 広島で講演

被爆地で来月NPDI外相会合 「市民が声上げよう」

 メキシコで先月開かれた「核兵器の非人道性に関する国際会議」の意義について、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲共同代表が広島市内での講演で語った。核兵器の禁止に向けた行動の具体化を求める声が目立ったと強調。被爆地で4月にある「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合でも、この成果を生かした議論をするよう求めるべきだ、と訴えた。(金崎由美)

 メキシコでの会議は、ノルウェーであった昨年に次ぐ2回目の開催。146カ国の政府や非政府組織(NGO)の代表が集まった。日本からは外務省の担当者とともに日本被団協の藤森俊希事務局次長(69)らが出席し、被爆体験や平和への思いを語った。

 川崎さんはNGO代表として傍聴。「オスロで2分間だった証言の時間が、今回は会議冒頭に1時間以上あった。核兵器がいかに非人道的かを知る被爆者の存在感が、議論の方向を決定付けた」と評価した。

 核兵器が使われたら地球環境や人々の健康にどんな被害があるか、という論点に絞ったのがオスロ会議だった。核兵器保有国や、日本のような同盟国の「核の傘」(核抑止力)に依存したがる国の出席を促す配慮だといわれた。

 メキシコでは一歩進み、「非人道的な兵器ならば禁止と廃絶に向けた行動を打ち出すべきだ」といった意見が相次いだという。議長を務めたメキシコの外務次官は「もう後戻りはできない」と廃絶への決意を明言。核兵器を禁止する法的枠組みなどの必要性を指摘し、会議を締めくくった。

 この場でオーストリアの政府代表は、年内に次の会議を開催する意向を示した。川崎さんは「さらに具体的な行動を見越した議論になるはず。核兵器の禁止条約に後ろ向きな日本は出席し続けられるのか。厳しく問うべきだ」と語った。第4回会議の開催地に被爆国が立候補するよう、外務省に求めることも提案した。

 広島での外相会合を控えるNPDIは、米国の「核の傘」を求める日本やオーストラリアにメキシコなどが加わった12の非核保有国で構成する。核兵器をめぐる政策は一枚岩でなく、議論が割れる可能性もある。川崎さんは「せっかくの機運に水を差すような結論は許さない。市民が声を上げよう」と呼び掛けた。

 講演会は、「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」が主催し、約30人が聞き入った。

(2014年3月10日朝刊掲載)

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