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[広島サミット5・19~21] 核保有国 削減努力継続を G7軍縮・不拡散成果文書骨子案

戦力状況の透明性も柱

 広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)で採択を目指す核軍縮・不拡散についての成果文書の骨子案が16日、判明した。核兵器保有国が削減努力を続けることや核戦力保有状況の透明性向上などが柱で、G7各国との協議を経て会議初日の19日に正式な文書を公表する。岸田文雄首相が提唱する「核兵器のない世界」への行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を踏まえる。(樋口浩二)

 関係者によると骨子案は、同プランを歓迎。核兵器を削減する努力の継続や透明性の向上に加え、核威嚇や使用への反対▽核不拡散体制の強化▽各国指導者による広島、長崎訪問の促進―も盛り込む方向となっている。ウクライナへの核威嚇を続けるロシアや核軍拡を進める中国の動向を考慮した。

 G7首脳は19日午前に広島市中区の原爆資料館を視察。被爆者の遺品を見たり、実際に被爆者と面会したりして核兵器が使われた際の惨状に触れた後、二つの討議などを挟み廿日市市の宮島に渡り、核軍縮・不拡散をテーマに話し合う。

 成果文書には核なき世界に向け、首相が外相時代から唱える核拡散防止条約(NPT)体制の強化を明記する方針。包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効や、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉開始の重要性も盛り込むとみられる。

 首相は被爆地で初めて開く広島サミットを核軍縮・不拡散の機運を高める契機としたい考えを重ねて表明している。G7サミットでは異例となる核軍縮の成果文書の採択を目指すほか、最終日の21日午後には好天の場合、中区の平和記念公園にある原爆慰霊碑の前で記者会見し、核軍縮も含む広島サミット全体の成果を発表する。

(2023年5月17日朝刊掲載)

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