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[広島サミット5・19~21] 休業・時短で収入減も 広島市内 交通規制が影響

「補償が欲しい」

 19~21日の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に伴う交通規制の影響で、広島市内では職場が休みや時短となる業種も多く、時給制の非正規労働者や自営業者の中には大幅な収入減となるケースもある。5月はもともと休日が多い上、さらに働けない日が増え「普段より5万円以上手取りが減る」との悲鳴も上がる。(新本恭子、木村健太)

 「一日も多く働きたいのに…」。ビル内の売店で働く中区のパート女性(40)は休みマークが連なるシフト表を見やり、肩を落とす。交通規制を受け、店は18~22日、時短営業にして出勤者を減らす。規制エリア内に住む女性は「店にたどり着ける見込みがない」として休みを言い渡された。

 病気や障害のある息子と2人暮らし。平日を中心に1日約8時間働き、手取りは15万円ほどだ。家賃や食費、光熱費を払うと余裕はない。大型連休も重なり、今月は普段より約6万円減る見込み。「洋服でも売らないと厳しい。1日働けないことがどれだけ家計に打撃か」と訴える。

 佐伯区で建設業を営む男性(63)も「補償が欲しい」とため息をつく。男性が請け負う住宅の建設現場は、資材の納品などに支障が出るためサミット期間中は工事が止まる。施工量で売り上げが決まるため、一円も入らない。「物価高もあり、生活がますます苦しくなりそう」と落ち込む。

 市民が外出を控え、観光客も減るため、影響は広範囲に及ぶ。西区の個人タクシー運転手沖野久司さん(65)は18日から5連休にする。2016年のオバマ元米大統領の訪問時は営業したが「交通規制で20分も信号待ちをしたりと、仕事にならなかった」。5連休で8万~10万円の売り上げを失うが「乗客に迷惑をかけるよりはいい」と諦め顔だ。市中心部では「サミット期間中は休業」の張り紙を出す飲食店も目立つ。

 政府は4月下旬の参院国土交通委員会で、入島制限のある宮島(廿日市市)の事業者を念頭に「休業補償は困難だ」と答弁。国内で前回開催された伊勢志摩サミット(16年)でも、休業補償は「なかった」(三重県国際戦略課)という。

(2023年5月17日朝刊掲載)

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