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福島生まれの愛 広島で花咲く 避難の佐藤さん夫妻 横川駅前で16日挙式 

 福島で育んだ愛。広島で実を結ぶ―。福島市から避難してきた自営業、佐藤亮太さん(28)と英美さん(27)が16日、広島市西区のJR横川駅一帯で結婚式を挙げる。「横川の人に祝福してもらい、感謝を伝えたい」。住民が開く国産初の乗り合いバス復元10周年の結婚イベントに応募し、選ばれた。(有岡英俊)

 既に広島に定住する決意を固めている二人。衣装合わせも終えて、本番を待つだけだ。「お世話になった多くの人に会えると思うとわくわくしている」と英美さん。当日は午前中、横川駅北の三篠神社で挙式し、一帯の商店街をパレード。正午から駅前での「披露宴」に臨む。

 サッカー福島ユナイテッド(現J3)の職員だった佐藤さんは原発事故から半年後の2011年9月、震災前に結婚の約束をした英美さんを連れて中区の公営住宅に移り住んだ。「福島で子どもを育てるのは不安」。放射線の健康被害を心配していた時、佐藤さんの友人で当時東京にいた住岡健太さん(28)=西区=が「横川に住む祖父母を頼って」と勧めた。

 二人は、住岡さんの祖父母方で夕食をごちそうになったり、時には泊めてもらったりしながら生活を安定させていった。帰郷した住岡さんが横川駅近くに飲食店の出店を決め、準備を手伝った。いろんな人と関わるようになり、地域の歴史を知り、ミニコンサートに参加するなどして住民と触れ合うようになった。

 昨年9月、住民でつくる「廣島かよこバス活用委員会」が結婚式のイベントを企画。主役となる新郎新婦を募集しているのを知った。式や披露宴をする考えはなかったが、感謝を伝えたいという気持ちが二人の背中を押し、7組の中から選ばれた。

 同委員会の山口孝事務局長(72)は「縁あって広島に避難してきた二人に、幸せな門出をプレゼントしたい」と張り切っている。

(2014年3月11日朝刊掲載)

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