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原爆献水の調査 「日本水大賞」特別賞に広島国際学院大の研究会

■記者 田中美千子

汚染調査や改善策提案

 広島国際学院大(広島市安芸区)の学生たちでつくる「広島銘水研究会」が、優れた環境保全活動に贈られる日本水大賞(同大賞委員会主催)の審査部会特別賞を受賞した。毎年8月6日、平和記念公園(中区)の原爆慰霊碑にささげられる「原爆献水」の水源調査を22年間続けてきた実績が評価された。

 研究会は同大の学生や環境問題に関心のある住民たち計15人で活動している。市が献水をくんでいる市内16カ所のわき水を5~7月にめぐり、塩素の有無や細菌量などを調べている。

 これまで、団地造成に伴って生活排水が増えたことなどから汚染が進んだ3カ所を市に通報。市は水源を替えた。現在も汚染の恐れがある3カ所について、周辺の里山整備や住民への水質保全の呼び掛けなどの改善策を市に提案している。

 工学部の佐々木健教授(60)が1982年、会の前身を発足させた。近くの瀬野川に加え、1987年から原爆献水の水源も調査してきた。会長を務める佐々木教授は「受賞は学生の励みになる。献水の意義と環境保全の重要性を訴えていきたい」と喜んでいる。

 同大賞実行委は環境問題の研究者や環境省の担当者などでつくっている。大学院2年細川雄一さん(23)は「同世代に資源の大切さを伝えたい。後輩に活動をつないでいく」と決意を新たにしていた。

(2009年7月9日朝刊掲載)

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