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アイに託す復興の願い 福山の湯田小 育てた種 仮設住宅へ

 広島県福山市神辺町の湯田小の児童が、東日本大震災で被災した福島県いわき市と宮城県岩沼市の仮設住宅に、藍染めの原料になるアイの種を贈る。神辺町の住民が昨年、手芸をしている被災者に、市の伝統産業でもある藍染めの布を寄付したのがきっかけ。児童は、一日も早い復興への願いを、生命力の強いアイに込める。(久保友美恵)

 種は、3年生143人が校庭で育てたアイから採った。「早い復興を祈っています」「元気でいて下さい」などと手書きのメッセージを添え、両市の仮設住宅向けに計140袋を用意。児童は10日、同小学区福祉を高める会のメンバーに発送を託した。

 同会は昨秋、神辺中の生徒と一緒に藍染めした60キロの布を被災地に寄付。震災で自宅を追われた女性が、収入を得たり生きがいを感じたりするために取り組む手芸に使ってもらった。「栽培や染色も楽しんでほしい」という提案も歓迎され、アイの栽培を25年続ける同小が協力することにした。

 「少しでも明るい気持ちになってもらいたい」と福田早磨君(9)。児童は、生育の様子を報告してもらったり、育て方を教えたりして被災者との交流を深める。

 福島県楢葉町からいわき市に避難し、布細工教室を開いている高原カネ子さん(65)は「原発事故後、農業ができずつらい思いをしている人が多い。手芸と併せてアイ栽培も日々の楽しみにしたい」と喜んでいる。

(2014年3月11日朝刊掲載)

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