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広島サミット あす開幕 休むか稼ぐか…分かれる対応 広島中心部の飲食店

交通規制 仕入れ困難/外国人当て込み準備

 19~21日に先進7カ国首脳会議(G7サミット)がある広島市の中心部では、交通規制で物流が滞る懸念から、食材調達が困難とみて休業を決める飲食店が相次いでいる。一方で外国人を呼び込む商機とみて、英語版のメニューを用意する店もあるなど対応が分かれている。(政綱宜規、岸慶太)

 原爆ドーム(中区)に近い大手町の居酒屋「広島酒呑童子」は、18~21日の休業を決めた。小イワシなど新鮮な魚介料理が売りだが、交通規制の影響で仕入れが難しい上、出勤が難しい従業員もいるためだ。オフィス街にも近く「金曜夜は稼ぎ時。正直痛い」。甲斐成人社長(67)はそうこぼしつつ「サミットは被爆地の歩みと平和を発信する絶好の機会だと思えば仕方ない」と前を向く。

 中区流川町や紙屋町に3店を構える焼き鳥店「炭焼雷」も18~22日を休む。安芸高田市産の鶏を毎朝仕入れており、交通規制で入荷に支障が出ると判断した。運営するキャピタルコーポレーション(中区)の村井由香社長は「一休みして、サミット後の訪日外国人客需要をしっかり取り込みたい」と見据える。

 一方で、サミット期間中の外国人の来店も当て込んで通常通り開く店も。中区立町のバー「ザ・スミスラボ」は、英語でカクテル名や原材料を書いたメニュー表を用意した。バーテンダーの山崎一輝さん(33)は「日本酒や焼酎を使ったレシピも充実させた。国籍を問わず楽しんでもらえれば」と意気込む。

 同じく通常営業する中区流川町の居酒屋「炉端と酒 五臓六腑(ろっぷ)本店」は、英語メニューの表紙にチャージ料(席料)の仕組みや支払い意思を確認する文章を添えた。運営するすずらん・アソシエイツ(西区)の藤村和樹エリアマネージャー(31)は「トラブルを避け、日本を好きになって帰ってほしい」と説明する。

 営業を続ける店からは「新型コロナウイルス禍が一段落し、売り上げが回復途上にあるこのタイミングで休むわけにはいかない」との切実な声も上がる。

 中区堀川町の日本料理店「広起」は通常営業するが、20、21日の予約は普段の土日の5分の1以下と明かす。「交通規制で繁華街にたどり着けないと思っているお客さんが多いのではないか」と店主の青木寛起さん(63)。それでも「海外のメディア関係者たちが来てくれるかもしれない。どうなるか分からないのだから、普段通り準備をするだけ」と気を引き締める。

(2023年5月18日朝刊掲載)

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