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上関町(山口)43億8600万円 14年度一般会計予算案 3年ぶりプラス編成

 山口県上関町は10日、開会した町議会定例会に2014年度当初予算案を提出した。一般会計は13年度当初比13・4%増の43億8600万円で3年ぶりのプラス編成。原発交付金で同町室津に建設中の総合文化センターとふるさと市場の事業費が予算規模を押し上げた。

 上関原発建設計画に伴う4年で総額25億円の特別交付金は、12年度で受け取りが終了。原発関連交付金は一般会計で6700万円を見込む。2年続けて1億円を割る見通しだ。

 歳出は普通建設事業費が59・2%増の18億1700万円。13年度着工の総合文化センターに9億800万円、ふるさと市場に2億2800万円を投じる。

 歳入では町税が4・9%減の2億1100万円。原発の準備工事中断による事業所数の減などから、法人町民税は7・9%減の2300万円と見積もる。繰入金は90・5%増の15億2800万円。原発交付金で設けた施設整備基金8億7500万円全額を室津の2施設の建設費に充てる。

 町議会はこの日、会期を19日までの10日間と決めた後、一般会計当初予算案を含む26議案を上程した。(井上龍太郎)

【解説】「原発なきビジョン」深化を

 上関原発計画が停滞し、上関町は巨額の原発財源を見込まない当初予算編成に2年続けて臨んだ。施設整備向けに積み立てた原発交付金を全て使い、大型施設の総合文化センターとふるさと市場を整備。柏原重海町長は両施設に観光面での収入増の期待を込める。

 道の駅登録を目指すふるさと市場は、農水産物を販売。総合文化センターは公民館などが入る。いずれも基金化した原発交付金を充てて整備。2014年度にオープン予定だ。町は近くに建設した温浴施設との相乗効果で、観光客誘致を図る考えだ。

 背景には町財政の先行きの不透明感がある。上関原発計画は凍結状態が続き、14年度の原発交付金は一般会計で13年度比6・5%減の6700万円。10億円を超えた、かつての潤沢さからは程遠い。準備工事の中断に伴い進出企業の撤退も相次ぐ。柏原町長は予算編成方針の最重要施策に定住対策も挙げた。

 町は3施設の維持運営費に、原発交付金を別に基金化した4億5千万円を充てる。10年間は賄えるとみるが、その先の保証はない。半農半漁の町の魅力をいかに発信するか、「原発なきビジョン」を深める必要がある。(井上龍太郎)

(2014年3月11日朝刊掲載)

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