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ヒロシマの声 NO NUKES NO WAR] パフォーマンスいらない 本気で議論を 広島大1年 岡島由奈(おかじま・ゆな)さん(18)=広島市東区

 ≪G7サミットで広島に集う首脳たちに被爆者との面会や原爆資料館(広島市中区)の見学を求めるオンライン署名活動に取り組んだ。集まった2万1319筆を3月、G7広島サミット事務局を置く外務省に提出。日本政府が各国に強く働きかけるよう促した。≫

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 広島開催を知ったとき、被爆者が存命のうちにG7首脳が広島に集うのは最後の機会になるのではないかと思いました。核兵器による被害を身をもって知る被爆者の声を直接聞いてほしい―。共感してくれた友人と署名を呼びかけました。

 要望は二つです。被爆者の証言をじかに聞いて核兵器廃絶のための議論に生かすこと。十分に時間を取って原爆資料館を見ること。海外の人にも賛同してもらうため、知人たちに手伝ってもらって英語のほかドイツ語、フランス語、イタリア語の訳も付けました。

 行動を起こした背景には、中学2年から高校3年まで活動した「中国新聞ジュニアライター」としての経験があります。取材を通して多くの被爆者と会い、証言に耳を傾けました。あの日の惨状だけでなく、家族を失った悲しみや続く健康不安、戦後に受けた差別といった話を聞きました。被爆者の核兵器に対する憤りを感じました。

 核兵器保有国のリーダーこそ被爆者の話を聞き、核兵器が生涯にわたり人間を苦しめることを知ってほしいと思うようになりました。私も傍観するのではなく、被爆者の思いを受け止めた若者として、今声を上げなくてはと、立ち上がりました。

 今回のサミットが、単なる被爆地でのパフォーマンスに終わらないか懸念しています。G7の国々は核兵器を保有する国や依存国です。核兵器ありきの安全保障の議論が世界に発信されれば、未来を担う子どもたちが「核なき世界」を目指すことをやめてしまうのではないかと恐ろしいです。

 首脳たちが本気で核の問題に向き合い、期限を決めて核兵器廃絶に向けた具体的政策を打ち出す。それがウクライナに侵攻し核兵器を脅しに使うロシアへの圧力にもなると信じています。 (聞き手は新山京子)

(2023年5月19日朝刊掲載)

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