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広島サミットきょう開幕 G7首脳 核軍縮議論へ

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)が19日、広島市で開幕する。78年前、米軍による原爆投下で壊滅し、核兵器も戦争もない世界を求めてきた被爆地に、核保有国の米英仏を含む7カ国と欧州連合(EU)の首脳が集う。ウクライナに侵攻したロシアが核使用を辞さない構えを見せる中、核軍縮・不拡散について議論し、特別文書を採択する方針。核兵器廃絶への一歩を踏み出す内容を盛り込めるかどうかが焦点となる。(田中美千子)

 21日まで3日間の日程。初日は議論に先立ち、G7首脳が平和記念公園(中区)を訪れ、原爆資料館の見学や被爆者との対面、原爆慰霊碑への献花に臨む方向で最終調整している。その後、主会場のグランドプリンスホテル広島(南区)でウクライナ情勢、訪問先の宮島(廿日市市)で核軍縮・不拡散を話し合う。

 日本としては特別文書に、広島、長崎への原爆投下後、核兵器が攻撃に使われていない歴史や、世界的な核兵器数の減少傾向を続ける必要性を明記したい考え。ただ、G7は核保有国と米国の核に頼る同盟国で構成。「核兵器なき世界」へ近づくため、地元選出で議長を務める岸田文雄首相の手腕が問われる。

 岸田首相は18日夜、主会場内で記者団に「被爆者たちが願う核兵器なき世界という理想を目指す機運を、再び盛り上げる転機にしたい」と述べた。

 他の主要議題は世界経済、気候変動、食料安全保障など多岐にわたり、20日から再び主会場で議論を続ける。核保有国インドのほか、韓国、ブラジルなど招待国8カ国の首脳も参加。最終日の21日に、全体の成果をまとめた共同声明を発表し、岸田首相が記者会見する。

 開幕を控えた18日は、各国首脳が広島空港(三原市)や米軍岩国基地(岩国市)を経由して、続々と広島入りした。岸田首相は市中心部でイタリアのメローニ首相、米国のバイデン大統領、英国のスナク首相と相次ぎ会談した。高速道や市中心部の一般道は交通規制が本格化し、平和記念公園の立ち入り規制も始まった。21日のサミット関連行事が終わるまで、厳重なテロ対策が続く。

 県立総合体育館(中区)に設けられた国内外の報道陣の取材拠点「国際メディアセンター」も開場した。

(2023年5月19日朝刊掲載)

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