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交通規制本格化 厳戒態勢 影響広がる 広島サミットきょう開幕

 広島市で19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)に伴う交通規制が本格化した18日、中国新聞の記者が街中や交通の要所に繰り出し、市民生活や経済活動の変化に目を向け、声を拾った。

休校・配送前倒し・広島脱出

❖市民生活

 マイカーの利用自粛の呼びかけが浸透し、朝の道路に大きな渋滞はなかった。2~3キロ連なるのは当たり前の国道2号の仁保交差点(広島市南区)付近もスムーズに車が流れた。電車やバスは減便したものの「いつもより乗客は少ない」という人が目立った。

 市中心部の各所にバリケードが登場した。各国首脳の車両が行き交う中区の吉島通りもたびたび封鎖された。運動教室に向かおうとしていた近くの扇絹子さん(75)は、通りに立つ警察官と相談して「この規制では帰りが心配ですね」と自宅に引き返した。

 広島市立の計80校は「サミット休み」。中区の光南公園では3組の親子が水鉄砲で遊んでいた。近くの会社員女性(39)は「小学生を1人にさせておけないので仕事を休んだ。仕方ないです」と話した。

 通常と違うルートでの利用者の送迎を余儀なくされた中区のデイサービス施設では、10分ほど余分に時間がかかったケースがあったという。会場となる南区元宇品町(宇品島)の入り口は前日に増して厳戒態勢となった。取材中の記者も職務質問を受け、リュックの中身の説明を求められた。

❖経済活動

 南区の主会場近くにある生協ひろしま出島支所は、特別配送体制で臨んだ。同支所は中区と南区の大半を担当。交通規制があっても迅速に対応するため、配送トラックの乗務員を1人から2人に。配送の一部を前倒しして備えたため、この日は普段の半分の約800世帯に届けた。立原富夫支所長(52)は「誰も経験ないことなのでどうなるのか」と翌日の配送を心配した。

 広島市中心部のコンビニでは昼の追加仕入れがないため、おにぎりが品切れになった店もあった。

❖観光

 平和記念公園(中区)や宮島(廿日市市)には午前中、閉鎖前に巡る外国人たちの姿があった。米国のローレン・ベイゼさん(35)は原爆資料館を見学し「二度とこのような恐ろしいことが起こらないように過去から学ぶ責任がある」と語った。

 JR広島駅(南区)の学生ボランティアのブースは盛況。ただ広島工業大4年の正岡和樹さん(21)は「『平和公園や宮島には行けないの』と聞かれ『ソーリー』と答えてばかり…」と申し訳なさそう。おもてなしの心を伝えたいと縮景園や広島城を紹介していた。

 広島駅や広島空港(三原市)では「脱出組」も目立った。東区の達川順子さん(73)は孫(8)と新幹線に乗った。「広島は身動きがとれないので思い切って東京で楽しんできます」

(2023年5月19日朝刊掲載)

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