×

連載・特集

[高瀬教授のサミットリポート] 原爆ドーム 9人並ぶか

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)の開幕に合わせ、サミットを研究する名古屋外国語大の高瀬淳一教授(64)は18日、広島市中区の国際メディアセンターに入った。閉幕まで毎日、注目のポイントを語ってもらう。(聞き手は奥田美奈子)

 初日の19日は、平和記念公園での首脳たちの動きに注目しています。原爆ドームを背景に、9人が並んだ写真を撮るのかどうか。18日夕時点では、警備上の課題から撮らない…との情報もあります。

 これまで私は、その一枚がいかに重要かを説いてきました。「核なき世界」を目指すとのメッセージを発信するのなら、世界にとって、これほど強く、分かりやすいメッセージはないからです。

 長年サミットを研究している、カナダ・トロント大のジョン・カートン名誉教授と再会した際、彼は確信を持ってこう言いました。「50年近い歴史の中で最高のサミットになる。核について明確なメッセージが出るはずだ」と。

 私も注視しています。核兵器を使わない▽増やさない▽長期的に「核なき世界」を目指す―という内容で及第点。もし核軍縮、つまり、いかに減らすかという方向性まで示すことができたら素晴らしい成果です。

 この会議では、さまざまな課題を扱います。世界では経済や地球環境などの問題が山積み。その解決へ向けた一歩が広島から始まるのです。歴史に残る3日間になる。そんな期待とともに、サミットを見守ってほしいと考えています。

たかせ・じゅんいち
 東京都生まれ。2003年から現職。著書に「サミットがわかれば世界が読める」など。

(2023年5月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ