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反戦・和解 朗読劇に込め 舟入高元演劇部員ら上演

 戦争さえせんかったら―。広島市中区の舟入高演劇部の元部員たちが18日、被爆者の女性の人生を描いた創作朗読劇「蛍火」を中区のJMSアステールプラザで上演した。19日に始まる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて企画。反戦や和解のメッセージを届けた。

 劇は10歳で被爆した女性が戦後の広島を生き抜き、45歳で亡くなるまでを描く。「あの日は朝から焼け付くように暑い日じゃったのう」。女性の弟が孫に語り聞かせる形で、その半生を回想。顔にケロイドのある友人や前向きな夫、やけどの治療を支えてくれた米軍人との出会いを通じ、女性は生きる喜びを見つけ、原爆を落とした米国への憎しみを乗り越えていく。

 約1時間40分の上演の終盤、市民参加の合唱隊が峠三吉の詩「にんげんをかえせ」を「アメージング・グレース」にのせて歌い上げた。閉幕後、会場は大きな拍手に包まれた。

 女性の少女時代を演じた安田女子大3年茶幡彩乃さん(20)=中区=は「サミットに合わせ原爆の悲惨さを考えてもらう機会をつくれた」と手応えを語った。

 鑑賞した西区の栄養士広川マリ子さん(55)は「普通の家庭から原爆が幸せを奪った。繰り返さないため、戦争の恐ろしさを子どもたちに伝えていきたい」と話していた。(宮野史康)

(2023年5月19日朝刊掲載)

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