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各所で通行止め 苦慮の交通機関 G7サミット開幕の広島市内 予定外の運休相次ぐ

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)初日の19日、広島市中心部などで長時間の交通規制が敷かれ、交通各社は対応に追われた。広島電鉄(中区)は主な電停に係員を置き、乗客の案内や誘導に当たった。路面電車やバスは土日祝日ダイヤなどで臨んだが、予定外の運休や部分運休も相次いだ。(小川満久、森岡恭子、村上和生)

 各国の首脳が訪れた平和記念公園(同)一帯などの道路は、朝から断続的に通行止めとなった。中区の紙屋町交差点でも、路面電車や一般車両の通行がたびたび規制された。広電の係員は赤と緑の手旗を持ち、警察官と一緒に軌道上で交通規制に当たった。

 朝は雨の影響もあり、混み合う車両もあった。広電は車内アナウンスで規制の情報を知らせ、原爆ドーム前や紙屋町西の電停では係員が乗客を案内した。夕方のラッシュ時に紙屋町西電停で降りた西区のアルバイト吉村学さん(38)は「これから居酒屋で仕事。普段はバイク通勤だが、規制が読めないので電車で早めに来た」と話した。

 交通各社は市中心部を走る路面電車や路線バスを22日まで土日祝日ダイヤなどにする。広電の路面電車3号線(西広島―広島港)は早朝を除き計画運休する。各社は停留所に掲示物を張って周知している。

 ただ、19日は予定していた3号線以外の路面電車33便が運休になった。広島バス(中区)も、大規模な規制があった吉島通りを通る吉島線を中心に、運休や運行途中での打ち切りが相次いだ。吉島営業所(同)の車庫からバスを出せない時間帯もあった。同社は「交通規制の情報を随時集めていたが、対処が難しかった」と説明する。広電と広島交通(西区)の路線バスも、それぞれ最大70分、30分の遅れが出た。

 影響はタクシー会社にも及んだ。よしじまタクシー(中区)は稼働車両を12台と保有数の50%以下にとどめ、流し営業も極力控えた。「近くの吉島通りがいつ通行止めになるか分からず、時間指定の予約を受けられない」。サミット中は通常営業が難しいという。

 物流は前日に続き影響を受けた。市中心部のコンビニはメーカーからの配送がないパンが品薄に。吉島通り近くのスーパー、アーベル吉島店(中区)は野菜などの入荷を規制前に間に合うよう早めた。日持ちする加工品はサミット中に納品がないため、事前に多く仕入れた。竹内義雄店長は「準備したので十分に並べられたが、規制と雨の影響で客は少なかった」と語った。

(2023年5月20日朝刊掲載)

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