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広島自慢の味 世界の記者に お好み焼き・ブランド豚・県産カキ… 国際メディアセンターで提供

 広島市で19日に始まったG7サミットの期間中、取材拠点の国際メディアセンター(中区)では、お好み焼きやカキなど、広島の食が海外の関係者に振る舞われている。地元の食品メーカーや生産者は知名度アップに期待を寄せる。

 メディアセンターは広島県立総合体育館にある。オタフクソース(西区)は体育館の外に鉄板を用意し、お好み焼きを出している。肉玉そばと、大豆肉などを使いベジタリアン(菜食主義者)に配慮した2種類を用意する。調理したオタフクソース国際事業部の平賀耕介さん(43)は「世界中の人に知ってもらう絶好の機会。国境や文化を超えて楽しんでもらいたい」と願う。インドから訪れたITコンサルタントのナチケット・マルカレさん(33)は「岸田文雄首相が食べているのを見て興味が湧いた。パリパリした麺の食感やキャベツとの相性がよくおいしい」と熱々を味わっていた。

 食材は官民でつくる広島サミット県民会議や外務省が選んだ。ブランド豚「瀬戸のもち豚せと姫」や県産カキの試食も人気を集める。屋内の飲食スペースでは朝昼晩の3回、ビュッフェ形式で出る。広島和牛のステーキや広島菜、もみじまんじゅうなども並ぶ。19日夜は日本酒も出た。

 新型コロナウイルス禍で販売が落ち込んだ食材もある。広島和牛の生産者でつくる広島食肉市場出荷者組合(西区)の馬上幸治理事長は「単価が4割落ちるなど苦しい状況だった。弱点の知名度の低さをひっくり返したい」と力を込める。

 各産品には広島の歴史も刻まれている。JA広島市広島菜漬センター(安佐南区)の藤本康隆総合所長は「広島菜は戦後、戦争で男性の働き手を失った女性たちが育てた復興の象徴。歴史的な背景も踏まえて味わってほしい」と話している。(政綱宜規)

(2023年5月20日朝刊掲載)

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