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ヒロシマ 世界へ発信 5000人規模 海外メディア集結

 19日に広島市で開幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)について伝えようと、欧米やアジアから5千人規模の報道陣が被爆地に集結している。中区の国際メディアセンター(IMC)を拠点に、初日は首脳たちの原爆資料館訪問や被爆者との面会を報じた。核軍縮や安全保障などを巡る議論の行方を注視している。(桑島美帆、湯浅梨奈、新山京子)

 米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のユリア・ヤルモレンコ記者(32)は、バイデン大統領たち首脳が原爆資料館を見学したことを評価。核兵器使用をちらつかせるロシアのウクライナ侵攻が続く中「核戦争で誰も勝つことはできない。広島から平和のメッセージを発する価値は大きい」と指摘する。

 ドイツ公共放送連盟ARDのエンゲル・グードゥルン・プロデューサー(43)も「原爆で壊滅したまちが緑豊かに復興したことに心を打たれた。世界中のメディア関係者が被爆者の声に耳を傾け、報じることに意味がある」との姿勢で臨む。

 一方で、サミットでの討議が核軍縮につながるかどうかについては冷めた見方もある。公共放送ラジオ・フランスのベルトラン・ギャラガー記者(60)は「核軍縮の議論を進展させるのは難しいだろう。G7だけで解決できる問題ではない」とみる。英国BBC放送のニック・マーシュ特派員は「核兵器に関するニュースは国際的な観点から報じる」と述べるにとどめた。

 歴史認識や安全保障の問題を踏まえ、アジアのメディアの注目度も高い。韓国・ソウル新聞の金珍児(キム・ジナ)東京支局長(40)は「最も関心があるのは尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄首相が一緒に『韓国人原爆犠牲者慰霊碑』を訪れることだ。歴史問題がどう議論され、過去や未来に対してどんなメッセージを発信するのかを報じたい」と強調。台湾のTVBSの郭展毓(かくてんいく)記者(45)は「台湾海峡の問題が重要なテーマになると聞いている。台湾の安定に貢献してほしい」と期待していた。

(2023年5月20日朝刊掲載)

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