×

ニュース

再生紙に加工/名刺/資料館文書 折り鶴33トン 平和に一役

 広島市は、原爆の子の像(中区)にささげられた折り鶴の再利用状況をまとめた。長期保存の方針をやめ、市民や団体に提供し始めた2012年度から2年間で、計33トンが再生紙などに生まれ変わった。市は「平和への思いを継承・発信する市民に受け入れられている」と評価。新たな利用方法も探るという。(明知隼二)

 平和記念公園内にある原爆の子の像には国内外から年間約10トン、1千万羽の折り鶴が寄せられる。市は秋葉忠利前市長の方針で02年度から焼却せずに保管していたが、11年4月に就任した松井一実市長が方針転換。12年2月に市の有識者委員会は市民による活用を促す報告書をまとめた。

 市はこれまでに国内外の125の個人や団体、企業に提供。内訳は再生紙への加工(43件)に30トンで、残る3トンは原爆展会場などでの展示(71件)や、お土産・記念品(32件)に使われた。市も0・2トンを職員の名刺や、原爆資料館(中区)の来館者に配る平和宣言の文書に活用した。

 ただ、折り鶴を再生紙にするには一般の再生紙の約2倍の費用が掛かるという。市平和推進課は「生産コスト削減のためにも利用を進める必要がある。福祉関連の文書に再生紙を使うなど全庁を挙げて需要を掘り起こす」としている。市は1月末時点で約85トンを保管している。

(2014年3月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ