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平和公園に「核ボタン」持ち込み G7広島サミット

 19日に広島市で開幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)で米国のバイデン大統領の随行者が、黒い大きなかばんを持って平和記念公園(中区)に入った。核攻撃を指令する通信機器などが入った「核のフットボール」と呼ばれるかばんとみられる。原爆犠牲者の慰霊碑がある公園内に「核ボタン」が持ち込まれた形で、被爆者から批判の声が強まっている。

 バイデン大統領が公園内にある原爆資料館に到着した後、随行者が公園内で黒いかばんを持ち運び、資料館にも入った。

 広島市立大広島平和研究所のロバート・ジェイコブズ教授は「女性の随行者が右手に持っているのが核のフットボール」と指摘。「米国の核政策として常に大統領の近くに核ボタンを置かねばならず、仕方がなかった」とする。一方、被爆者で元原爆資料館長の原田浩さん(83)は「論外だ。広島で何が起こったのか分かっていない」と憤る。

 2016年にオバマ元大統領が広島市を訪れた際にも、核のフットボールが平和記念公園に持ち込まれたとみられている。(編集委員・東海右佐衛門直柄)

(2023年5月20日朝刊掲載)

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