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文学で震災再考 鴎外や中也 多彩な切り口 共同企画 中国地方から5館

 東日本大震災から3年となり、中国地方の五つの文学館が、文学作品を通じて震災や復興を考える企画展を開いている。戦後広島の復興や関東大震災を題材にした、郷土ゆかりの作家の作品や関連資料を多彩な切り口で紹介している。

 ふくやま文学館(福山市)は、ミニ展示「復興と文学―ヒロシマ」を開催。広島市出身の作家原民喜が被爆後の生活苦を描いた小説「廃墟から」や、同市出身の作家大田洋子が被爆8年後の広島を舞台にした小説「夕凪の街と人と」などの書籍を並べ、説明文を添えている。

 中原中也記念館(山口市)は、中也と同時代に起きた関東大震災を特集した雑誌を展示。震災から1年半後に上京した中也が「地震のあと、急に建物が新式になつたりなんかして」などとつづった日記もパネルで紹介する。

 森鴎外記念館(島根県津和野町)は、災害に関わる鴎外作品を集めた。吉備路文学館(岡山市北区)は、夏目漱石が学生時代に訪れた岡山で洪水に見舞われ、その様子を友人の正岡子規に送った手紙の文面をパネルで解説する。勝央美術文学館(岡山県勝央町)は、関東大震災で被災した作家岡本綺堂の作品から当時の情景を読み解く。

 5館の企画展は、全国文学館協議会(東京)の呼び掛けに36館が応じた全国共同展示「3・11文学館からのメッセージ―天災地変と文学」の一環。東日本大震災が起きた11日を含む各館での開催期間中、震災体験を取り上げた小説などの収蔵資料を紹介する。(石井雄一)

(2014年3月14日朝刊掲載)

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