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核軍縮 現実路線を確認 G7声明 ウクライナ支援を継続

 先進7カ国(G7)の首脳は広島市でのサミット2日目の20日、成果を盛り込んだ首脳声明を発表した。軍縮・不拡散に関し、「全ての人にとっての安全が損なわれない形」で現実的、実践的に核兵器のない世界を目指す姿勢を示した。ロシアが侵攻するウクライナ支援の継続も確認。軍事力強化を続ける中国へは、懸念を直接伝えることで建設的かつ安定的な関係を構築する用意があると強調した。(中川雅晴、山本庸平)

 G7首脳は、核軍縮の重要性を指摘した「広島ビジョン」を19日に公表しており、全体の首脳声明にも同様に明記。「より安定した安全な世界を創造するための軍縮および不拡散の努力の重要性」を再認識した。

 岸田文雄首相が外相時代から唱える核拡散防止条約(NPT)体制の強化も指摘。約190カ国・地域が加盟するNPTを「核軍縮と原子力エネルギーの平和利用の追求の基礎」とした。軍事転用される恐れのある技術や研究に関する輸出管理を強化する措置を歓迎する意向も示した。

 他の分野では、自由で開かれたインド太平洋の重要性を改めて確認し、法の支配に基づく国際秩序の維持を唱えた。中国には東・南シナ海情勢に深刻な懸念を表明し、力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対すると確認。台湾海峡を巡る平和と安定の重要性を記した。北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難し、拉致問題の解決も求めた。

 会期2日目に首脳声明を公表した理由について政府は、20日午後から韓国やインドなど招待国8カ国の首脳たちが加わり、「G7だけの討議が終了したため」と説明した。議長である岸田首相の判断という。

 この日は、南区元宇品町(宇品島)にある主会場のグランドプリンスホテル広島で討議を続けた。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国への支援を強化する方針で一致。中国やロシアを念頭に、経済的威圧に対抗する措置として新たな枠組み創設で合意した。岸田首相は最終日の21日には、招待国の首脳たちと平和記念公園(中区)を訪れる。閉会セッションなどを経て、記者会見に臨む。

(2023年5月21日朝刊掲載)

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