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「核廃絶 世界の世論に」 被爆者の山本さん 国内外の記者に証言

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、広島市東区の被爆者山本定男さん(91)が20日、取材拠点の国際メディアセンター(中区)で体験を語った。2016年に同市であったG7外相会合ではかなわなかった海外の報道関係者への証言。多くの子どもの命を奪った原爆の残虐性を伝え「核廃絶を世界の世論に」と訴えた。(宮野史康)

 「犠牲者には私と同世代だった中学生や女学生が多い」。広島二中(現観音高)2年生だった山本さんはそう切り出し、大勢の子どもが建物疎開作業に動員され、爆心地に近い市街地にいたと紹介した。1年生約320人は全滅しており、「私はたまたま助かった」と語りかけた。

 膨らんだ遺体や丸裸になって手当てを受ける女性の絵、やけどをした被爆者の写真を示した。被爆時には無傷でも放射線の影響で白血病やがんで亡くなった人もいる点にも触れ、非人道的な被害を説明した。

 スウェーデンやバングラデシュなど海外5社を含む記者約30人は耳を傾け、ペンを走らせた。スイスのラジオ局特派員西村カリンさん(52)は「78年前を語る強い気持ちを伝えたい。さっそく今日のリポートで紹介する」と話していた。

 山本さんは7年前のG7外相会合でもメディア向け証言を担当したが、海外記者の参加はなかった。念願の証言を終え、「熱心に聞いてもらった。簡単ではないが、核廃絶の訴えを世界に広げる一歩になった」と受け止めた。

 証言会は、広島サミット県民会議が主催。21日まで山本さんを含め3人が証言する。

(2023年5月21日朝刊掲載)

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