×

連載・特集

[高瀬教授のサミットリポート] 新興国との連携不可欠

 G7サミットは今回、国際社会で存在感を高め「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との関係を築くことも重視しています。地球規模の課題を解決するためには協力が欠かせないのはもちろん、対中国、対ロシアを念頭に置いた政治的な思惑もあり、連携を強めたいとの考えがあるからです。

 2日目の20日は、招待された8カ国を交えた拡大会合がありました。食料危機や保健衛生対策、開発などの解決策が検討されました。全ての国に関係のある気候変動対策でも連携が欠かせません。広島での議論の成果は、今後の多国間協議の土台になっていきます。

 G7サミットでの宣言や公式文書は、首脳たちの国際公約です。だからこそ、この場でグローバルサウスを巻き込み、対策の指針を決めていくことが重要なのです。

 こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領が広島入りしました。世界でいま、最も核兵器の脅威にさらされている国のリーダーです。

 G7首脳とのやりとりはもちろんですが、グローバルサウスのリーダーたちがどういった対応を見せるかに注目しています。特に代表格のインドは、ロシア制裁とは距離を置いてきたからです。

 招待国首脳も21日、平和記念公園を訪れることになっています。被爆地の思いに触れた上で、どんな発言が聞かれるのか見守っています。(聞き手は奥田美奈子)

(2023年5月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ